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林田浩一事務所
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『つくる』に向き合う企業や個人の成長戦略を、「デザイン」や「ブランド」に軸足を置いた事業戦略・商品戦略で支援しています。

モノ/サービス/人・・・いずれにせよ魅力的に『つくる』、そのカギは『企業の創造性×表現力』です。
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2007年04月19日

違いが判らなきゃ選べない

テレビを買うとき、どうやって選びます?

最近我が家では、もう少し大きな画面のテレビが欲しいなぁと思っていたら、いま使用中のテレビから寿命が近そうな怪しげな雰囲気が漂ってきたので、時々家電量販店などへ出掛けては、売り場をウロウロとしてみたりしています。

ところが、大抵は途中で見るのが嫌になって売り場を離れてしまいます。(まぁ今すぐに買う、というほどの意気込みがワタシに無いせいもあるのだとは思いますが)

本来的にはワタシは、百貨店や家電量販店、クルマ屋などで、新しいモノを見て歩くことは好きな方なので(デザインの仕事なぞしようと考えるくらいですから)、比較的長時間のウロウロでも、苦痛に感じることは少ないのですが、『そろそろテレビを買うかなぁ』と思いながら売り場にいくと、毎回なぜこのようなことになるのか。

それは、ぱっと見で商品間の違いが判らないもどかしさにあります。

売り場を歩きながら大量の商品群から読み取れるのは、画面のサイズと価格の違いくらい。(あと加えるとしたならば、売り場のディスプレイなどから『店舗側が売りたい商品』が読み取れる店もありますが。)

一方ニュースやウェブなどで見かける家電メーカーについての記事では、「薄型テレビは、競争激化でメーカーのコストダウンのスピードよりも販売価格の下落スピードが速い・・・」「利幅がより取れる大型テレビへシフト・・・」etc. といったものも見かけますが、売り場を見ていると販売価格が下がるのは当然な気はします。


我々は買い物をするとき、個人的な買い物であれ会社の買い物であれ、候補商品やサービスの価値と価格を天秤に掛けて、どれを買うのか、もしくは買わないのかを判断をしています。


候補商品の間で価値の違いが判らない(=価値的にはどれを買ってもほぼ同じ)と購入者に判断された場合、購入の判断基準は価格のみとなってしまいます。

つまり『同じようなものなら、安い方で良いじゃん!』って訳ですよね。(例えばワタシにとっては、トイレットペーパーなどはその代表格です)

今テレビ売り場で起きているのは、これと同じようなことに見えます。(家電メーカーにとっての顧客が、エンドユーザーではなく量販店となっている構造も原因ではあるのでしょうが)
メーカー各社の商品は何に価値があるのか?商品間の価格の違いがどこからきているものなのか、その価格は購入しようとしている自分にとって割高なのか、それとも割安なのか?  購入の際の判断基準とする価値をどこに置くか、見え難い状態。


そういえば、我が家で現在使用しているテレビを買ったときのことを思い返してみると、その当時は自分が買うべきモノを比較的短時間で選んだ記憶があります。

室内で大きなスペースを占めるブラウン管のテレビを止めたい、という点がまずは第一の条件だったので、液晶テレビ商品がまだ少なかった当時は、候補はあっという間に絞り込まれましたから。

あとは、デザインや機能を眺めつつ、最終的には「よく考えられたデザインのリモコン」なんてものが、自分で使ってみたいか否かの決め手だったりしたように思います。。

まだ液晶テレビはこれから、というタイミングのでしたので、価格の高さ(価値に対しての高さではなく、単純に絶対値としての高さ)から、予算と気に入った商品で釣り合いが取れたのは、15インチという今ではノートPCのような画面サイズのモノでしたが。


さて今回は何を自分の価値基準にしますか。
ワタシの中ではまだ決めきれていないので、まだ暫くは売り場を彷徨いそうです。

それにしてもあんな状況の売り場で、みんなどうやってテレビ選んでるんだろ?





さてここで翻って、今度は買い手から我々が商品・サービスを提供する側に立ってみるとどうでしょう。

先程のテレビ売り場の例を考えても、価格競争に巻き込まれないためには、価格以外の『何か』が、商品選択時の基準として顧客の頭に思い浮かぶ必要があることが判ります。

いわゆるブランドビジネスでは、この『何か = 付加価値』で競合商品との差別化を創り出すことを、商品開発において追求している訳です。

またある一面からは、『どうやって売り込むか』というより『売り込まずに買いに来てもらうためにどうするか』ということを重視しているという見方もできます。


いずれにしても、まずは競合商品との違いを付加価値として盛り込むこと、我々はこれを考えた方が良さそうです。



そしてその付加価値を、顧客へ伝えるために可視化していくとき、戦略としてのデザインに関しての考え方を、企業の最終意思決定者(つまり経営者)自身が持っている必要があると、ワタシは考えています。

これまでのワタシ自身の経験から思い返しても、結局のところ、付加価値を商品やサービスに盛り込むに当っては、その企業の事業戦略に対する価値観から大きく外れたものは思いつきませんから、事業の価値観が曖昧ならば、商品やサービスとして世の中に送り出されるものも、ぼやけたものとなりがちになっているように感じています。


例えば、アップルのiPodの強さは、『ハイテク・ウォークマン』的な商品を作ってハードウェア単体を売ろうとしたのではなく、ファッションアクセサリー的なイメージをシリーズ全体で一貫したデザインアプローチ、iTunesというソフトとの組合せ、アップルストアからの情報発信、自動車メーカーやカーオーディオとの連携、等々iPodに関連する要素全体をシステムとしてデザインしたところにある、とワタシは見ています。 

そして企業としてのアップルは、スティーブ・ジョブスCEOが先頭に立って引っかき廻しながら前進している、そんなところに強さを感じます。



もちろん価格競争へ果敢に挑む、という選択肢もありますが、『価格が理由で自社の顧客になった場合、同じ理由で他社へ移っていく』『一番安い、の究極の勝者は一人(一社)だけ』・・・

といったことを考えるだけで、『他社より**円安い』からと利益を減らしながら選ばれるよりは、『***があるから、他社より多少高ても・・・』とお金を出して貰える(できれば『しょうがねーな!』と笑いながら)ために知恵を絞った方が良いと思いませんか? ご相談にのりますよ!




***** 林田 浩一 *****
  
Posted by 林田浩一事務所 at 19:36Comments(0)ワンポイントレッスン