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『つくる』に向き合う企業や個人の成長戦略を、「デザイン」や「ブランド」に軸足を置いた事業戦略・商品戦略で支援しています。

モノ/サービス/人・・・いずれにせよ魅力的に『つくる』、そのカギは『企業の創造性×表現力』です。
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2007年04月26日

『らしさ』  〜 電車に乗ってふと思ったこと

先日久しぶりに電車に乗って横浜みなとみらい地区へと出掛けてきました。
首都圏にお住まいの方はご存知の方が多いと思いますが、横浜駅と中華街や元町の間に位置するこのエリアは、2004年にみなとみらい線という新しい電車ができて、東京方面から中華街(と元町商店街)までが1本の電車で繋がっています。

幸いにも我が家の最寄り駅は、このみなとみらい線と繋がっている東横線沿いなので、便利になったことや、休日のみなとみらい地区のクルマの流れが以前より悪くなってきたことから、平日はクルマで動いているワタシも最近の休日は電車です。


少々横道に外れてしまいましたが、久しぶりにこの電車に乗って思いを巡らせたことがあります。


それは『らしさ』の重要性です。


今回の、みなとみらい線には横浜から元町中華街の営業区間に、駅が6つ有ります。
この各駅全てが、それぞれ異なるデザインとなっているのが特徴です。そしてそのデザインは、各駅の周辺地域の特徴を反映したものとなっています。

例えば、みなとみらい駅はランドマークタワーやクイーンズスクエアといった新しい街に直結していることから、未来感/ハイテク感/クールさといったことが思い浮かぶ、チューブのような空間や明るく白い照明の駅です。

これに対し、ひとつ隣の馬車道駅では、歴史的な建造物が残るエリアに位置することを反映し、ホームにはアクリルの透明なベンチを設置するなどピンポイントではモダンさを出しながらも、地下の駅ホームから地上への通路までいたるところに本物のレンガ壁やレンガ色のカラーが採用され、照明も落ち着いた色味のものに、改札から出たすぐ傍のレンガ壁には、駅の真上に建っていた銀行が使っていた金庫の扉が取り付けられていたりして、歴史的な記憶の雰囲気作りがされている、という具合です。


6つの駅の区間は全て地下鉄なので、地上には特徴的な駅舎はありませんし、電車に乗っていても外の景色は見えません。

それでも各駅に、電車が付いた時からその近隣地域の『らしさ』を表現したデザインとすることで、観光地エリアを通るこの路線を利用する人たちの気分を創り出そうとしていることが伺えます。

ただ残念なのは、せっかくこの様な丁寧な作り込みをしているにも関わらず、みなとみらい線の公式ウェブサイトには、そういったことが一切記載されていないこと。

経営理念の一文に、「私たちは、鉄道事業を通して横浜都心部の活性化や沿線の集客を図るとともに、・・・・」などと文章で書くより、よほど企業姿勢を強く伝えると思うのですけれどね。


一方、このみなとみらい線が、駅周辺エリアの『らしさ』を鉄道側に取り込むことを選んだのとは、全く異なる『らしさ』を選択しているのが、新幹線ではないでしょうか。

これまでに出張や旅行などで色々なところへ新幹線を利用しましたが、ホームから駅前の景色の雰囲気まで、何処の新幹線の駅も似たような印象を受けます。

そこにあるのは、新幹線システムとしての『らしさ』の統一感です。

モジュール化されたデザインで、駅や新幹線の車体をシステムとしてデザインすること。

これは、全く新しい乗り物として新幹線が世の中に登場した時代には、この新幹線システムとしての『らしさ』の統一感が、旅行する人達の気分を盛り上げるのに役立ったのだと思います。
でも、そろそろ今の時代性での表現としてはどうでしょうか? とワタシは思いますが。


みなとみらい線と新幹線、この2つのどちらかの表現が正しいという訳ではありません。
顧客への訴求ポイントや目的を明確にし、デザインを組み立てることができれば、顧客の意識の中に『らしさ』としてイメージを作っていくことができます。
そしてその『らしさ』は、競合との差別化要因となります。


さて、みなさんのビジネスでは、何を『らしさ』として訴求していきますか。



***** 林田 浩一 *****
  
Posted by 林田浩一事務所 at 18:37Comments(0)ワンポイントレッスン

2007年04月19日

違いが判らなきゃ選べない

テレビを買うとき、どうやって選びます?

最近我が家では、もう少し大きな画面のテレビが欲しいなぁと思っていたら、いま使用中のテレビから寿命が近そうな怪しげな雰囲気が漂ってきたので、時々家電量販店などへ出掛けては、売り場をウロウロとしてみたりしています。

ところが、大抵は途中で見るのが嫌になって売り場を離れてしまいます。(まぁ今すぐに買う、というほどの意気込みがワタシに無いせいもあるのだとは思いますが)

本来的にはワタシは、百貨店や家電量販店、クルマ屋などで、新しいモノを見て歩くことは好きな方なので(デザインの仕事なぞしようと考えるくらいですから)、比較的長時間のウロウロでも、苦痛に感じることは少ないのですが、『そろそろテレビを買うかなぁ』と思いながら売り場にいくと、毎回なぜこのようなことになるのか。

それは、ぱっと見で商品間の違いが判らないもどかしさにあります。

売り場を歩きながら大量の商品群から読み取れるのは、画面のサイズと価格の違いくらい。(あと加えるとしたならば、売り場のディスプレイなどから『店舗側が売りたい商品』が読み取れる店もありますが。)

一方ニュースやウェブなどで見かける家電メーカーについての記事では、「薄型テレビは、競争激化でメーカーのコストダウンのスピードよりも販売価格の下落スピードが速い・・・」「利幅がより取れる大型テレビへシフト・・・」etc. といったものも見かけますが、売り場を見ていると販売価格が下がるのは当然な気はします。


我々は買い物をするとき、個人的な買い物であれ会社の買い物であれ、候補商品やサービスの価値と価格を天秤に掛けて、どれを買うのか、もしくは買わないのかを判断をしています。


候補商品の間で価値の違いが判らない(=価値的にはどれを買ってもほぼ同じ)と購入者に判断された場合、購入の判断基準は価格のみとなってしまいます。

つまり『同じようなものなら、安い方で良いじゃん!』って訳ですよね。(例えばワタシにとっては、トイレットペーパーなどはその代表格です)

今テレビ売り場で起きているのは、これと同じようなことに見えます。(家電メーカーにとっての顧客が、エンドユーザーではなく量販店となっている構造も原因ではあるのでしょうが)
メーカー各社の商品は何に価値があるのか?商品間の価格の違いがどこからきているものなのか、その価格は購入しようとしている自分にとって割高なのか、それとも割安なのか?  購入の際の判断基準とする価値をどこに置くか、見え難い状態。


そういえば、我が家で現在使用しているテレビを買ったときのことを思い返してみると、その当時は自分が買うべきモノを比較的短時間で選んだ記憶があります。

室内で大きなスペースを占めるブラウン管のテレビを止めたい、という点がまずは第一の条件だったので、液晶テレビ商品がまだ少なかった当時は、候補はあっという間に絞り込まれましたから。

あとは、デザインや機能を眺めつつ、最終的には「よく考えられたデザインのリモコン」なんてものが、自分で使ってみたいか否かの決め手だったりしたように思います。。

まだ液晶テレビはこれから、というタイミングのでしたので、価格の高さ(価値に対しての高さではなく、単純に絶対値としての高さ)から、予算と気に入った商品で釣り合いが取れたのは、15インチという今ではノートPCのような画面サイズのモノでしたが。


さて今回は何を自分の価値基準にしますか。
ワタシの中ではまだ決めきれていないので、まだ暫くは売り場を彷徨いそうです。

それにしてもあんな状況の売り場で、みんなどうやってテレビ選んでるんだろ?





さてここで翻って、今度は買い手から我々が商品・サービスを提供する側に立ってみるとどうでしょう。

先程のテレビ売り場の例を考えても、価格競争に巻き込まれないためには、価格以外の『何か』が、商品選択時の基準として顧客の頭に思い浮かぶ必要があることが判ります。

いわゆるブランドビジネスでは、この『何か = 付加価値』で競合商品との差別化を創り出すことを、商品開発において追求している訳です。

またある一面からは、『どうやって売り込むか』というより『売り込まずに買いに来てもらうためにどうするか』ということを重視しているという見方もできます。


いずれにしても、まずは競合商品との違いを付加価値として盛り込むこと、我々はこれを考えた方が良さそうです。



そしてその付加価値を、顧客へ伝えるために可視化していくとき、戦略としてのデザインに関しての考え方を、企業の最終意思決定者(つまり経営者)自身が持っている必要があると、ワタシは考えています。

これまでのワタシ自身の経験から思い返しても、結局のところ、付加価値を商品やサービスに盛り込むに当っては、その企業の事業戦略に対する価値観から大きく外れたものは思いつきませんから、事業の価値観が曖昧ならば、商品やサービスとして世の中に送り出されるものも、ぼやけたものとなりがちになっているように感じています。


例えば、アップルのiPodの強さは、『ハイテク・ウォークマン』的な商品を作ってハードウェア単体を売ろうとしたのではなく、ファッションアクセサリー的なイメージをシリーズ全体で一貫したデザインアプローチ、iTunesというソフトとの組合せ、アップルストアからの情報発信、自動車メーカーやカーオーディオとの連携、等々iPodに関連する要素全体をシステムとしてデザインしたところにある、とワタシは見ています。 

そして企業としてのアップルは、スティーブ・ジョブスCEOが先頭に立って引っかき廻しながら前進している、そんなところに強さを感じます。



もちろん価格競争へ果敢に挑む、という選択肢もありますが、『価格が理由で自社の顧客になった場合、同じ理由で他社へ移っていく』『一番安い、の究極の勝者は一人(一社)だけ』・・・

といったことを考えるだけで、『他社より**円安い』からと利益を減らしながら選ばれるよりは、『***があるから、他社より多少高ても・・・』とお金を出して貰える(できれば『しょうがねーな!』と笑いながら)ために知恵を絞った方が良いと思いませんか? ご相談にのりますよ!




***** 林田 浩一 *****
  
Posted by 林田浩一事務所 at 19:36Comments(0)ワンポイントレッスン

2007年04月14日

『誇らしげに語る』ということ

今週は仕事を一緒にさせていただいている企業の社長に同行して、富山の鍛造ホイールメーカーへと出かけてきました。(鍛造ホイールが作れる会社は、世の中に何社も無いのでお判りの方はお判りかと思いますが)

今回は同行した企業のメンバーとして、オリジナルデザインの欧州スポーツカー向けのホイールの開発・生産をその鍛造ホイールメーカーへ依頼するための打合せが目的でした。

打合せの方は、何とかこちらの要望するオリジナルデザインでの開発スタートということで無事終了。

帰りの飛行機まで暫く時間があったため、副社長さんの案内で工場見学をさせていただくことになりました。


この時に感じたのは、久しぶりに印象の良い工場見学だったこと。
後からこれは何故だろうと考えていた時に思い浮かんだのは『誇らしげに語る』というキーワードでした。

ワタシ自身はどちらかというと工場見学が好きなほうなので、自動車メーカーのデザイナーの時から、出張で部品メーカーなどに出掛けると、機会ごとに工場を見せていただくお願いをしていましたが、今回の様に印象良く感じた企業がいくつかありました。

こういった企業に共通していたのは、こちらからお願いする前に『工場を見せたがる』ということでしたが、この『誇らしげに語る』というという点も共通していたことに気がつきました。


工場見学中の説明でも、副社長さんの静かな口調の中に、如何に拘ってモノ作りをしているかということが伝わってきます。

自動車メーカー向けに大量生産する場合も、今回の我々の様に決して多くは無い計画生産数の場合でも、その拘りは一貫している姿勢。

そしてそれを実現するために蓄えたノウハウから、結果的に競合の参入障壁が高くなっていることを感じました。


顧客への提供価値に拘り、自分たちの仕事を誇らしげに語る。


我々もそうありたいものです。




***** 林田 浩一 *****
  
Posted by 林田浩一事務所 at 14:16Comments(0)ワンポイントレッスン

2007年04月07日

経営者にとってのデザイン

皆様はじめまして。この4月よりドリームゲートアドバイザーとなった林田です。

デザインを核とした商品開発コンサルタントとして、企業のデザイン戦略や商品企画、ブランド作りといったことを仕事としています。


世の中にモノやサービスが溢れている今、競合他社と差別化や付加価値、あるいは新しい顧客を創り出す上で、デザインを活用することが成功へのカギとなるのは、「B to Cビジネス」のみならず「B to Bビジネス」においても自然なこととなりました。


ところで皆さんは、デザインという言葉から何を感じるでしょうか?(もちろんここはドリームゲートなので、起業家や経営者としての視点でですよ。)



デザインは企業やビジネスとしての在り様を、表現・演出するものであり、その先にはブランドとしての成立があります。

ですから、経営者の方は自分でデザインができる必要は有りませんが、デザインを理解し自身のビジネスにおいて、どのようなデザイン方針を採るのかを語れなければならないとワタシは考えています。


なぜならば、お金を出せば色々なデザイナーから『デザインの提案』は買うことができますが、その中から自社に必要なデザインをどのように発注するのか、またどのように決めるのか、これは企業側の『意思決定』に委ねられるからです。

そして意思決定には何らかの基準が必要ですよね。


しかし残念ながら、デザインを商品の最後に施される『うわべの化粧(装飾)』という過去の考えに縛られ、自分自身は関心ナシというスタンスが経営者の方が、まだまだ多いのも現状です。(その一方でブランドを作りたい、などと言っていたりするのですが・・・)

今やデザインの対象は、商品だけではなくサービスも含めてのものなので、『最終段階の化粧』では、ビジネス上はどうしようもないのですけれどね。



ワタシは、元々は工業デザイナーとして自分の仕事を始めましたが、仕事を続けていく中で、「商品やサービスの価値を高めるものとしてのデザインが、きちんと機能して世の中へ出て行くためには、企業の意思決定者=経営者のところで決まる」、ということが気になっきて、最近は自分自身がデザインを行うよりもデザイナーとコンサルタントの中間のような仕事を、企業の最終意思決定者である経営者をサポートする仕事に携わることが多くなってきました。


その様な訳で今のワタシは、デザイナーというよりも商品開発コンサルタント(もしくはデザインコンサルタント)なのだと思います。(正確には何屋さんなんだか、自分でも良く判らないところも有りますが)



ここドリームゲートに集う皆さんは、現時点あるいは未来の起業家や経営者の方が多いと思います。

せっかく起業されるのですから、顧客の方から買いに来る様な付加価値を創り出すためにも、デザインにも眼を向けてみることをオススメします。


ドリームゲートの仲間として、商品開発や、事業戦略としてのデザイン活用といったことで、お手伝いや情報提供ができれば、と考えています。

気にることやご質問などは、お気軽に無料メール相談を利用して下さい。


それでは、これから宜しくお願いいたします!
とりあえずは自己紹介、のようなものでした。



***** 林田 浩一 *****
  
Posted by 林田浩一事務所 at 19:00Comments(0)ワンポイントレッスン