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『つくる』に向き合う企業や個人の成長戦略を、「デザイン」や「ブランド」に軸足を置いた事業戦略・商品戦略で支援しています。

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2010年12月20日

小さな企業が最終プロダクトを持つということ(ある事例から)

暫くこちらでの更新が滞っている間に、気が付けば今年も残り僅かです。

今年がこれまでの年と大きく異なっているのは、Twitter(最近ではFacebookも加わり)というソーシャルメディアを使い始めたことで、今までにない多彩な方々との出会いがあったことです。Twitter上で語り合った一部の方とは、リアルでもお会いして語り合い、その中から協業プロジェクトも芽生えつつあり、というような流れに身を置いてみて、ソーシャルメディアが、ビジネスのインフラとしても当たり前になりつつあるのを実感しています。


そんな中でのひとつとして、先月はTwitterで出会って以来お付き合いさせていただいている、エンモノ社の三木(@mikikouj)さんと宇都宮(@ucchan)さんが開催されたセミナーへ出掛けてきました。

このセミナ-では、町工場・中小企業からの最終製品づくりがテーマだったのですが、ワタシも日頃の仕事で、中小企業のオリジナル商品開発やブランド創り・育成といったことを外部からお手伝いしているので、共感できるところ、改めて感じたことなどが多々あった一夜でした。少し時間は経っていますが、改めて纏めておきたいと思います。


◆製品から商品へが大きなハードル

セミナー後半の部では「ユビタマゴ」という美顔器を開発して販売されている、ミツワ株式会社の三輪社長が話をされたのですが、そこには興味深いものが色々とありました。

元々は大手化粧品メーカーから、樹脂成形の受注仕事を主力としていた同社が、エンドユーザー向けの製品開発を行い、商品として販売の軌道に乗せていくまでというストーリー概要はリンク先でご覧いただくとまとめられていますので、そちらを是非ご一読を。


ワタシが興味があったのは、製品を商品へ作り込み顧客へ受け入れられるために、どのような行動をされていたのかということでした。

今回のミツワ社に限らず、下請け型の受注仕事が主力の会社は、発注内容に沿った【製品】としてのモノは作れます。しかもレベル高く。

しかし、エンドユーザーへ向けたプロダクトを開発し販売していくには、モノを「つくる」に加えて、ユーザーに「受け入れられる」企画や、「伝える・届ける」ためのルートや手法の確保など、サプライチェーン全体に眼を配って【製品】ではなく【商品】をつくっていく必要があります。

そして、この製品を商品へしていくという部分が、下請け型の受注仕事しかしてこなかった企業には大きなハードルです。(放っておいてもモノは作れるので、エンドユーザー市場へのオリジナル製品を作ってしまった後で、困ってしまっているというパターンに出会うことがありますが、話しを聞くと製品と商品ということへの意識が余りないように感じることが多いのですね。。)

セミナーでも三輪社長自身、『製品を開発・生産するよりも、販売するため労力が遙かに大変』と語られていました。


では、ミツワ社が2年間で10万個弱の販売規模まで育てることができたポイントは何だったのか。

:『誰に勧めてもらうのが効果的か』を、局面ごとに常に意識していた。

:それぞれの局面で、自社に足りないリソースは積極的にコンサルタントなど、自社とウマが合いそうな外部パートナーを探してきてタッグを組むことで、ビジネスを加速していった。

お話の中での同社の行動に注目していくと、この2つが上手く機能して成果になっていっています。(もちろん、始めから上手くいった訳ではなく、試行錯誤を重ねらて得た結果であろうことが想像できます。)

幸いにして、ユーザー側の思いや考えを知ったり、自社に適した外部パートナーを見つけるための情報を得る環境は、一昔前と比較すると充実していますから、活用しない手はないと話されていましたから、上記に加えて経営者自身が能動的に動ける、ということもポイントになりそうです。

同社は現在、販売ボリュームの多いTV通販に加え、自社サイトからの販売も強化しているとのことでした。これは、エンドユーザーの個人情報を得て、顧客との関係性を強化することへ活用するため。現状に留まることなく、次への道筋も抜かりなく進めておられるようです。

中小企業でも自社で最終プロダクトを持つことは、経営上の強みとして、こういったところでも発揮されます。自社で決めることができる変数をより多くもつということは、自社の行動を決めるための選択肢も多くなるということですから。



◆最終プロダクトを持つことは社内活性化にもつながる

もう一つ印象的な話しは、自社プロダクトを開発・販売するようになって、受注仕事の時よりも従業員の方々が活き活きとしているようになった、と仰っていたことです。

中小企業が下請け型の受注仕事だけでなく、自社製品でビジネスをすることは、社内の活性化にもなるなぁ、と改めて思ったのでした。

実は、この日のセミナーの帰路ご一緒した試作屋さん(何と、最寄り駅がワタシの家の最寄り駅とお隣という偶然! 笑)の社長さんも同様なことを仰っていました。

試作屋さん、プロダクトデザインやモノづくりの仕事をしていると、みんなお世話になる黒子の存在です。ここでつくられるモノは、ある検討会や機能確認だけのために存在し、その多くは廃棄されるので世の中に出ることはありません。

こちらの会社が模型屋さんから相談され作ったのが、F1のプラモデルをカスマイズするための「レインタイヤ」

ビジネスとしては微々たるボリュームだけど、担当者が活き活きとし、のめり込んで(笑)作り込んだものを作ったのだとか。(途中で、「それじゃ利益にならないよ」と何度も突っ込みそうになったと、笑ってらっしゃいましたが。)

試作屋さんで作られるものは、どんなに手を掛けてもある時点でしか使われないので、販売してずっと残る、ユーザーからの反響がある、というのは社内への大きな刺激になったとのこと。

これらの逸話から、以前に何かで読んだ(か、どこかで聞いた)『モチベーションは、上げろと叱咤激励して上がるものではないけれど、やりがいを感じる環境に身を置くと自然と上がるもの』という話しを思い出したのでした。(うろ覚えで出典は不明です)



下請け型受注仕事しかしたことのない中小企業も、自社オリジナルの最終プロダクトを持つことを、ワタシはお勧めしていきたいなぁと思います。(平坦な道ではないけれどけれどね) というか、そのためのお手伝いを仕事として取組んでいるわけですが。

下請け型受注仕事を止める必要はありません(というより、止めちゃいけない場合の方が多いでしょう)。こちらの仕事で基盤となる収益を上げながら、オリジナルの最終プロダクトでは、目先の収益以上にブランドを創っていくことを意識しながら、先々の無形資産を積み上げていく、というのが良いのではないでしょうか。


こういったことを実行していくには、自社だけではリソースが足りないのは当然のこと。そこは、ミツワ社の三輪社長も仰っていたように、自社に足りない機能は外部パートナーを活用すれば良いのです。その際に自社とウマが合う、そして単なる外注に留まらない相手と出会うまで、手間を掛けてコミュニケーションをとることをお勧めしたいところです。長期的に付き合える外部パートナーが見つかれば、ブランドとして戦略を展開していくことも楽になります。


ワタシ自身の場合を考えても、プロダクトデザイン開発などモノから始まっても、商品企画やマーケティング、ブランドといったビジネスをどうしていくかという方向へと拡がって、担当させていただくことが多い気がします。

なんだか宣伝めいていますが(半分宣伝ですね 笑)、外部の立場から言わせていただくと、基本的には売り込みはしません。求められる環境で仕事をする方が、お互い幸せになると思うので。ですから、まずは話しをお聴きし会話するところから始まります。今はTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアもありますので、興味をお持ちいただいた方は遠慮なく話しかけてください。

ん~?何だかやっぱり最後は宣伝みたいになっちゃった(笑)


でも、真面目なところ、今回のミツワさんのような中小企業がもっと増えていけば、元気な企業も増えると考えています。そのためのお手伝いは、デザイナーなのかコンサルタントなのか、はたまたプロデューサーなのか、(タイトルは何でもいいのだけど、、)惜しまずしていきたいとワタシは思っているのです。



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